口唇ヘルペスの治し方
感染力が強く、何度でも繰り返すことからお悩みの方も多い口唇ヘルペス。
発症してしまった場合の治療方法や注意点を知っておきましょう。
口唇ヘルペスの症状
口唇ヘルペスは、感染すると特徴的な症状があらわれるようになります。
心当たりがあれば、医療機関で相談してみてください。
主な症状
まず、初期症状として唇の周辺にチクチク、ピリピリするような違和感が生じます。
再発の場合、この予兆によって「また症状が出る」と察知し、対策を始めるという方も多いです。
その予兆から数日も経たないうちに、唇が赤みを増して腫れぼったくなり、数日後には水疱(水ぶくれ)ができます。
この水疱が口唇ヘルペスの主な特徴であり、内部には大量のウイルスが含まれている為、安易に触れたり潰したりしてはいけません。
なお、発症すると必ずしも水疱ができるというわけではなく、赤みや熱感のみで治まる場合もあるようです。
水疱はおよそ2週間程度でかさぶたになり、自然と治ります。
かさぶたの段階ではウイルスの増殖は終わっていますが、死滅してはいませんので、無理に剥がさないようにしてください。
稀に起こる症状
口唇ヘルペスに感染した際、ヘルペスウイルスの増殖に伴って頭痛や発熱、リンパ節の腫れ、筋肉痛、全身の倦怠感などを引き起こす場合があります。
免疫力が低下している場合に重症化しやすくなるので注意が必要です。
また、稀にウイルスが脳へ到達し、重篤な全身症状を招くヘルペス脳炎に発展するケースも報告されています。
意識障害や記憶障害、異常行動といった病状に陥る可能性もありますので、少しでも不安があれば専門の医師へ相談しましょう。
治療方法
口唇ヘルペスの感染が確認されたら、すぐにお薬での治療を開始してください。
現状、ヘルペスウイルスを完全に死滅させられるお薬はなく、抗ウイルス薬により増殖を抑えて軽症化させる治療方法が一般的です。
お薬には、患部に直接塗布する外用薬と、身体の内側から成分を浸透させる内服薬があります。
外用薬は手軽に使えて全身性の副作用も起こりにくい分、効果も緩やかなものが多い為、症状が軽い場合に推奨されます。
しっかりと対策をしたい場合には、内服薬をお試しください。
どちらも、発症からなるべく早め(ウイルスが増殖しきる前)に使用した方が高い効果を発揮します。
初期感染時に重症化した場合や、免疫不全の方の場合など、特定のケースでは点滴による治療が行われることもあるようです。
PIT療法
口唇ヘルペスの再発を繰り返している方に向けて、医療機関でPIT療法が勧められる事例も増えています。
PITは「Patient Initiated Therapy」の略称であり、「患者主導の治療」を意味する言葉です。
通常、お薬は体調が悪くなったのをきっかけに医療機関を受診し、症状に見合ったものを処方してもらいます。
一方、PIT療法は、予めお薬を処方してもらい、再発の兆しが確認された際に患者の方がご自分の意思で飲み始める治療方法です。
すでにお薬が手元にある状態なので、突発的に発症する口唇ヘルペスに対して早い段階から治療を開始できます。
また、通常時と同じくお薬は保険適用内です。
お薬が欲しいけれど病院へ行く余裕がない、といった事態を避けられることから注目されています。
治療薬の種類
現在、ヘルペスの治療に用いられている主な抗ウイルス薬は、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの3種類です。
これらはいずれも、ウイルスの増殖に必要なDNA合成を阻害する作用を持っています。
似ているように思えますが、それぞれ適応症の範囲が異なりますので、ご自分に合う成分が配合されたお薬を選んでください。
アシクロビル | バラシクロビル | ファムシクロビル | |
適応症 | 免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹、脳炎・髄膜炎、新生児単純ヘルペスウイルス感染症 | 単純疱疹、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペスの再発抑制、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制 | 単純疱疹、帯状疱疹 |
参考:医療用医薬品「アシクロビル」
参考:医療用医薬品「バラシクロビル」
参考:医療用医薬品「ファムシクロビル」
これらのうち、PIT療法に用いられるのはファムシクロビルを配合したファムビルというお薬です。
ヘルペスの再発抑制に対して高い治療効果が期待できるとされており、初期症状があらわれた時点で飲み始めると症状の悪化を防げます。
お薬ラボでは、以下を始めとする同成分を配合したお薬を多数取り扱っております。
ゾビラックス |
バルクロビル |
ファムシマック |
|
成分 | アシクロビル | バラシクロビル | ファムシクロビル |
価格 | 1箱25錠/2,200円 | 1箱20錠/4,000円 | 1箱12錠/2,850円 |
先発薬 | - | バルトレックス | ファムビル錠 |
何科を受診する?
口唇ヘルペスに感染した際は皮膚科または、内科を受診してください。
ウイルス性の皮膚疾患ですので、より専門性の高い診療が期待できるのは皮膚科です。
特に、初めて感染した方は皮膚科の受診が推奨されています。
再発の場合は内科でも問題ありません。
なお、性器ヘルペスに感染した場合は、婦人科や泌尿器科の受診を検討しましょう。
感染経路
ヘルペスウイルスの主な感染経路は、接触感染と飛沫感染です。
接触感染
キスや性行為をする際、口唇ヘルペスの罹患者の口が触れることで相手にウイルスが伝染します。
唇同士で触れ合っていれば口唇ヘルペス、唇で相手の性器付近に触れていれば性器ヘルペスを発症するリスクが高まるでしょう。
また、直接的な接触がなくとも、罹患者の唇が触れた食器やタオルを共用で使った場合に感染してしまうケースもあります。
飛沫感染
口唇ヘルペスの症状が出ている罹患者の唾液や水疱の内液などに触れると、ウイルスに感染してしまう可能性があります。
咳やくしゃみでウイルスが飛散する場合がある為、発症中は当事者も周囲の人たちも感染対策を徹底しましょう。
マスクを着用する際は、直接着けると患部が擦れて水疱を潰してしまう恐れがあるので、患部にガーゼを当てた状態で着用するのがおすすめです。
口唇ヘルペスの注意点
口唇ヘルペスに関する注意点をご紹介します。
自分の為にも、周囲の人たちの為にも、必要なケアを心掛けましょう。
症状があらわれたら
まずは症状を悪化させない為に、なるべく早めに内服薬の使用を推奨します。
ヘルペス治療薬は、飲み始めが早いほど高い効果を発揮します。
治療が遅れると、ウイルスの増殖が広がり重症化するリスクがあるので危険です。
また、先述したように、患部には触れない、水疱は潰さない、かさぶたは剥がさないことを徹底しましょう。
ヘルペスウイルスの感染は、その多くが接触感染です。
症状が出ている間はキスや性行為を避け、タオルや食器などの共用も控えることをおすすめします。
感染・再発対策
口唇ヘルペスは身体の免疫力が低下したタイミングで感染または、再発する可能性が高いです。
日頃から食事や睡眠の質を高める、疲労やストレスを溜め込まない、適度な運動を習慣化するなど、健康な身体作りを意識してください。
症状があらわれた時は、身体の抵抗力が落ちているサインでもあるので、免疫機能が回復するまで安静にしていることも大切です。
予防の重要性
帯状疱疹には専用のワクチンがありますが、口唇ヘルペスを含む単純疱疹にはワクチンがありません。
お薬の力で予防することができないのです。
そして一度感染すると、ウイルスが体内に潜み続け、何度でも再発を繰り返すようになります。
感染力の強いヘルペスから身を守るには、上記の感染・再発対策が重要です。
ウイルスに負けない身体作りを目指しましょう。
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