バルトレックスの飲み方について
バルトレックスは感染及び再発しやすい性器ヘルペスや単純疱疹、帯状疱疹、水痘(水ぼうそう)などの治療に有効な抗ウイルス薬です。
いつでも安全に使用できるよう、一般的な飲み方を把握しておきましょう。
バルトレックスの飲み方
バルトレックスは、年齢や症状により適切な用法・用量が異なります。
詳細は医師に相談または、医療用医薬品:バルトレックスをご参照ください。
なお、どの症状に該当している場合でも、早期に服用を開始するほど高い効果が期待できます。
以下は、成人の方が服用する場合の目安です。
単純疱疹
1回500mgを一日2回服用してください。
バルトレックスを5日間服用しても改善の兆しが見られないまたは、症状の悪化が見られる場合には、他の治療方法へ切り替えましょう。
ただし、初期型性器ヘルペスは重症化する恐れがある為、本剤を10日間まで使用できるものとします。
帯状疱疹
1回1000mgを一日3回服用してください。
目安として、皮疹出現後5日以内に飲み始めるのが望ましいです。
本剤を7日間服用しても改善の兆しが見られないまたは、症状の悪化が見られる場合には、他の治療方法へ切り替えましょう。
水痘
1回1000mgを一日3回服用してください。
目安として、皮疹出現後2日以内に飲み始めるのが望ましいです。
本剤を5~7日間服用しても改善の兆しが見られないまたは、症状の悪化が見られる場合には、他の治療方法へ切り替えましょう。
性器ヘルペスの再発抑制
1回500mgを一日1回服用してください。
HIV感染症を患っている方(CD4リンパ球数100/mm3以上)は、1回500mgを一日2回服用しましょう。
免疫正常者において、性器ヘルペスの再発抑制にバルトレックスを使用している際に症状の再発が認められた場合には、上記の「単純疱疹」用の飲み方へ変更してください。
また、再発抑制を目的に本剤を使用しているにもかかわらず頻回に再発を繰り返す場合には、必要に応じて1回250mgを一日2回または、1回1000mgを一日1回服用する方法へ変更することも可能です。
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
1回500mgを一日2回、造血幹細胞移植施行7日前~施行後35日まで服用してください。
副作用について
バルトレックスの服用時は、他の抗ウイルス薬と同じように副作用のリスクがあります。
重篤な副作用が見られた場合には速やかに医療機関を受診し、軽度の場合は本剤の使用を中止するなど、適切な処置を行いましょう。
重篤な副作用
およそ1%の確率で精神神経異常があらわれるとの報告があります。
意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症などの症状が多いようです。
一般的には、本剤の使用を中止することで徐々に回復するとされています。
その他、汎血球減少(0.73%)、無顆粒球症(0.24%)、血小板減少(0.36%)、急性腎障害(0.12%)、また頻度不明で以下の症状が生じるケースもありますのでご注意ください。
- アナフィラキシー
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
- 血小板減少性紫斑病
- 尿細管間質性腎炎
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
- 呼吸抑制
- 無呼吸
- 間質性肺炎
- 肝炎
- 肝機能障害
- 黄疸
- 急性膵炎
軽度の副作用
上記の他にも、軽度で一時的な不調があらわれる可能性があります。
十分な経過観察を行い、必要に応じて休薬する、医療機関を受診するなど適切な対処をしましょう。
0.5%以上 | 肝機能検査値の上昇、腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、頭痛、腎機能障害など |
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0.5%未満 | 嘔吐、めまい、排尿困難など |
頻度不明 | 発疹、蕁麻疹、そう痒、光線過敏症、意識低下、尿閉など |
服用時の注意点
バルトレックスの使用にあたり、いくつか注意していただきたい点があります。
必ず事前にご確認ください。
意識障害
服用後、昏睡や意識低下といった副作用があらわれるケースが報告されています。
服用期間中は、なるべく自動車の運転や高所作業、機械の操作などの危険作業には従事しないようにしましょう。
医療機関でバルトレックスを処方される場合も、医師の判断で危険作業を禁止する指示が出されることがあるようです。
特に、腎機能障害がある方は発症リスクが高まります。
脱水に注意
本剤の血中濃度が高い状態が持続すると、副作用が発現しやすくなります。
服用期間中は普段よりも多めに水分を摂るよう意識してください。
脱水症状を起こしやすい素因がある方(腎機能障害がある、高齢者、水痘を患っているなど)は特に注意が必要です。
水分制限の指示が出ている方は、必ずかかりつけの医師へ相談しましょう。
バルトレックスを服用できない方
以下に該当する方は、バルトレックスを服用できません。
また、治療中の疾患や常用しているお薬などがある方は、事前に担当医へご相談ください。
- 配合されている成分または、アシクロビルに対して過敏症の既往歴がある方
- 免疫機能が低下している方
- 肝機能障害がある方
- 妊娠中の方または、妊娠している可能性がる方
- 授乳中の方
飲み合わせについて
バルトレックスの併用禁忌薬は現在報告されておりません。
ただし、いくつかの併用注意薬がありますのでご確認ください。
不安があれば、専門の医師や薬剤師へ相談しましょう。
プロベネシド
プロベネシドは痛風治療薬として利用されている成分です。
バルトレックスとの併用により、本剤に含まれるアシクロビル(活性代謝物)の排泄が抑制され、AUC(平均血漿中濃度曲線下面積)が48%増加したとの報告があります。
AUCが大きく変動すると、効果や副作用の生じ方に影響を及ぼす場合があるので注意が必要です。
特に、腎機能が低下している可能性がある方は事前に医師へ相談することを強く推奨致します。
シメチジン
シメチジンは胃酸抑制薬として利用されている成分です。
プロペネシドと同様に、本剤のアシクロビルの排泄を抑制し、AUCを27%増加させるとの報告があります。
腎機能が低下している可能性がある方は、特に注意しましょう。
ミコフェノール酸 モフェチル
ミコフェノール酸 モフェチルは免疫抑制剤として利用されている成分です。
バルトレックスと併用した場合、アシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、双方のAUCが増加するとされています。
腎機能に不安のある方は、慎重な服用を心掛けてください。
テオフィリン
テオフィリンは気管支喘息治療薬として利用されている成分です。
本剤に含まれるアシクロビルとの併用により、テオフィリンの血中濃度が上昇し、中毒症状があらわれる恐れがあります。
消化器症状、精神神経症状、心・血管症状、電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症などが発現するとの報告があるので注意しましょう。
アレグラと併用できる?
アレグラはアレルギー性疾患治療薬として知られるお薬です。
鼻炎や蕁麻疹、皮膚疾患に対して有効であり、バルトレックスとの併用も問題ありません。
ただし、どちらのお薬も肝機能にまつわる副作用を引き起こす可能性を孕んでおりますので、体調面で不安のある方は注意が必要です。
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