ゾメットとリベルサスとフォシーガの違いを徹底比較
糖尿病治療薬には様々な種類があり、用途や体質に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
体重の減少を目指して服用する場合も同様です。
本記事では、主立った糖尿病治療薬のうち、ゾメット、リベルサス、フォシーガに焦点を当てて違いを比べていきますので、参考にしてください。
ゾメット・リベルサス・フォシーガの比較表
お薬ラボの商品データを元に、ゾメット(メトホルミン)、リベルサス、フォシーガの特徴を比較しました。
商品 | ![]() ゾメット |
![]() リベルサス |
![]() フォシーガ |
---|---|---|---|
分類 | ビグアナイド薬 | GLP-1受容体作動薬 | SGLT2阻害薬 |
作用機序 | 糖新生の抑制、抹消組織での糖の取り込み促進、小腸での糖の吸収抑制など | インスリンの分泌サポート、食欲抑制など | 糖の再吸収の抑制・排泄サポート、腎臓病や心不全の治療など |
主な副作用 | 下痢、嘔吐、貧血、めまい、頭痛など | 下痢、嘔吐、頭痛、食欲減退、めまいなど | 下痢、嘔吐、めまい、体液量減少、ケトーシスなど |
基本的な 飲み方 |
一日500〜750mgを 2~3回に分けて服用 |
一日1回5mgを 空腹時に服用 |
一日1回5~10mgを 服用 |
価格 | 1箱(100錠) 2,650円 |
1箱(10錠) 10,800円 |
1箱(28錠) 6,300円 |
備考 | ジェネリック医薬品 | 先発薬 | 先発薬 |
「血糖値を下げる」という目的は同じですが、配合されている有効成分が異なる為、効果や副作用、飲み方など、細かい部分に違いがあります。
お薬を選ぶ際は、ご自分の体質や症状に合った商品を見極めることが重要です。
それでは、商品ごとの違いを更に詳しく見ていきましょう。
分類・効果の比較
ゾメット、リベルサス、フォシーガは、それぞれ以下のように分類されます。
なお、()は配合されている有効成分です。
ゾメット (メトホルミン) |
リベルサス (セマグルチド) |
フォシーガ (ダパグリフロジン) |
---|---|---|
ビグアナイド薬 | GLP-1受容体作動薬 | SGLT2阻害薬 |
ゾメットの効果
肝臓での糖の生成(糖新生)を抑制する作用、筋肉や脂肪などの末梢組織のインスリン感受性を高めて糖の消費を促す作用、小腸における糖の吸収を阻害して排泄させる作用などがあり、多角的なアプローチで血糖値の低下を助けてくれます。
2型糖尿病治療薬の中では珍しく、インスリンの分泌そのものには影響を与えない為、他の系統のお薬と比べて低血糖を起こしにくいです。
欧米の診療ガイドラインでは、糖尿病治療の第一選択薬の1つとしてメトホルミンの活用が推奨されています。
また、糖の排泄を促すことからダイエット効果も期待されているようです。
参考:米国糖尿病学会(ADA)「Standards of Medical Care in Diabetes—2022(糖尿病の医療基準2022)」
2型糖尿病患者のうち、インスリン分泌はあるものの肥満などが原因でその働きが弱まってしまっている方におすすめです。
更なる脂肪の蓄積を予防すると共に、糖の濃度を低下させて健康維持をサポートしてくれるでしょう。
リベルサスの効果
GLP-1は食後などの血糖値が高まるタイミングでのみ生成されるホルモンであり、インスリンの分泌を促す働きを持っています。
有効成分セマグルチドはGLP-1と似た作用を発揮する為、摂取によってその働きを補助できるのです。
更に、脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑える作用もあるので、過食や肥満の防止も望めます。
血糖値の改善と体重の減少を同時にサポートしてくれることから、糖尿病と肥満症を併発している方にも人気のお薬です。
元々、GLP-1受容体作動薬は注射でしか投与できないお薬でしたが、2021年に初の経口薬としてリベルサスが誕生しました。
2型糖尿病患者のうち、インスリンの分泌量が低下してしまっている方におすすめです。
併発している肥満症を改善したいけれど食事制限が苦手という方にも人気があります。
フォシーガの効果
SGLT2はたんぱく質の一種であり、人体の活動や健康維持に欠かせない糖が体外へ出て行かないよう抑える働きを持っています。
ダパグリフロジンには、このSGLT2の働きを選択的に阻害する作用があるので、余分な糖を排泄させて血糖値を改善させることが可能です。
成分や作用機序は異なるものの、ゾメット(メトホルミン)を使用した場合と同じく血液中に滞留する糖の濃度が下がる為、ダイエット効果も期待できるとされています。
副作用として体重減少が確認されたケースもあるようです。
また、上記の作用によって腎臓への負担を減らせることから、糖尿病を伴わない慢性腎臓病の治療にも使用できるようになりました。
参考:アストラゼネカ株式会社・小野薬品工業株式会社「フォシーガ、2 型糖尿病合併の有無に関わらず、日本で初めての慢性腎臓病の治療薬として承認を取得」
2型糖尿病患者のうち、腎機能や心機能に不安がある方、食後高血糖が起こりやすい方などにおすすめです。
フォシーガを含むSGLT2阻害薬は、肥満外来(ダイエット外来)で処方されるケースもあります。
副作用の比較
糖尿病治療薬の副作用は、消化器や代謝機能、神経系などに影響を及ぼすものが多いです
商品 | ![]() ゾメット |
![]() リベルサス |
![]() フォシーガ |
---|---|---|---|
5%以上 | 下痢 | 悪心、下痢 | 性器感染 (腟カンジダ症など) |
5%未満 | 食欲不振、腹痛、悪心、嘔吐、腹部膨満感、便秘など | 食欲減退、頭痛、糖尿病網膜症、便秘、嘔吐、腹痛、消化不良、上腹部痛、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、リパーゼ増加など | 尿路感染、体液量減少、便秘、口渇、頻尿、尿量増加、陰部そう痒症など |
頻度不明 (重篤な症状) |
乳酸アシドーシス、低血糖、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症 | 低血糖、急性膵炎、胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸 | 低血糖、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症、脱水、ケトアシドーシス |
参考:医療用医薬品「メトホルミン塩酸塩」
参考:医療用医薬品「リベルサス」
参考:医療用医薬品「フォシーガ」
糖の生成や吸収などに影響を与えるゾメットと、インスリンの分泌や働きを助ける作用があるリベルサスは、下痢、腹痛、嘔吐といった消化器にまつわるの発現例が多いことが分かります。
一方、インスリンに影響を与えない特殊な作用機序を持つフォシーガは、便秘や口渇に加えて、生殖器にまつわる副作用があらわれたという報告もあるようです。
重篤なものでは、多くの糖尿病治療薬に共通する低血糖やアシドーシスの他、ゾメットであれば横紋筋融解症、リベルサスであれば胆嚢炎や胆管炎、フォシーガであれば外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎といった、お薬特有の症状も挙げられます。
副作用の症状や対処方法を念頭に置き、服用期間中は経過観察を入念に実施してください。
飲み方の比較
2型糖尿病の治療に用いる場合、基本的な用量は以下の通りです。
ゾメット | 1回1錠を一日2~3回に分けて服用 |
---|---|
リベルサス | 一日1回1錠 |
フォシーガ | 一日1回1錠 |
服用するのに手間がかからないのは、一日1回1錠のみで良いリベルサスとフォシーガでしょう。
ゾメットの用量に関しては、厳密に言えば一日あたり500mgの成分を摂取する必要があります。
お薬ラボで取り扱っている商品には、1錠につき500mgのメトホルミンが配合されている為、錠剤を分割し、2~3回に分けて飲まなければならないのです。
どのお薬も、毎日決まった時間帯に服用するのが望ましいので、一日1回と一日2~3回とで、どちらの方が飲み忘れがなくて済みそうか、ご自分のライフスタイルと重ね合わせてご検討ください。
価格の比較
お薬ラボでは、それぞれのお薬の最小単位を、以下の価格で取り扱っております。
ゾメット | 1箱(100錠)2,650円 |
---|---|
リベルサス | 1箱(10錠)10,800円 |
フォシーガ | 1箱(28錠)6,300円 |
1箱あたりの価格が最も安く、かつ封入されている錠数も多いのはゾメットです。
どのお薬も一日で1錠を消費する為、ゾメットは1箱で約3ヶ月分、リベルサスは1箱で10日分、フォシーガは1箱で約1ヶ月分の分量が封入されていることになります。
ゾメットは商品の中で唯一のジェネリック医薬品なので、先発薬であるリベルサスやフォシーガよりもコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
服用時に多少の手間がかかるとしても、長く使い続けることを考えた場合、「価格が安い」というのは大きなメリットです。