グルコバイ

バイエル社（Bayer）が開発・販売しているグルコバイは、食後の血糖値の上昇を抑える効果がある糖尿病治療薬です。主成分であるアカルボースは、日本の厚生労働省でも承認されており、αグルコシダーゼ阻害薬に分類されています。他の糖尿病治療薬とは違い、インスリン分泌の促進や活動を改善するのではなく、小腸にある酵素αグルコシダーゼの作用を阻害することにより、摂取された糖分の吸収を穏やかにします。αグルコシダーゼは食べ物に含まれる多糖類を腸で吸収される場合に単糖類へと変化させます。細分化された単糖類は小腸からより吸収しやすく、血糖値が上がりやすくなります。グルコバイは、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることにより、食べた物が脂肪になりにくくなる為、食後過血糖改善薬とも呼ばれています。この高いダイエット効果を利用して、多くの美容外科では糖質制限ダイエットの治療にグルコバイを処方しています。

成人では通常1回100mgを一日3回、食直前に服用してください。ただし、1回50mgから服用を開始し、忍容性を確認した上で1回100mgへ増量することもできます。なお、年齢や症状に応じ適宜増減してください。高齢者等忍容性の低下が懸念される方に対しては低用量（1回50mg）から服用を開始してください。本剤の使用は、糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法のみを行っている方では服用の際、食後血糖値が200mg/dL以上を示す場合に限ります。食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下薬またはインスリン製剤を使用している方では、服用の際の空腹時血糖値は140mg/dL以上を目安としてください。グルコバイを服用中は、血糖を定期的に検査・観察し、常に投与継続の必要性について注意を払ってください。

グルコバイは、糖尿病の食後過血糖の改善をする効果があります。ただし、食事療法・運動療法によっても十分な血糖コントロールが得られない場合や食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下薬若しくはインスリン製剤を使用している方で十分な血糖コントロールが得られない場合に限ります。

副作用は腹部膨満・鼓腸、放屁増加、軟便排便回数の増加、下痢、腹痛、便秘などがあります。重大な副作用には、低血糖や腸閉塞、肝機能障害、黄疸があらわれることがあります。重篤な肝硬変例に投与した場合、便秘等を契機として高アンモニア血症が増悪し、意識障害を伴うとの報告があるので、排便状況等を十分に観察してください。

2～3ヶ月服用しても食後、血糖に対する効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮してください。なお、食後血糖の十分なコントロールが得られ、食事療法・運動療法またはこれらに加えて経口血糖降下薬もしくはインスリン製剤を使用するのみで十分と判断される場合には、本剤の投与を中止して経過観察を行ってください。

グルコバイには下記のような併用注意薬があります。医師にご確認の上で使用してください。
・スルホンアミド系薬剤、ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア系薬剤、インスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、速効型食後血糖降下剤
低血糖があらわれることがあります。

・β遮断剤、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等
糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わることによる影響に十分注意してください。

・アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等
糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わることによる影響に十分注意してください。

併用禁忌はありませんが、次の方はグルコバイを使用しないようにしてください。
・重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の方
・重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
・妊婦または妊娠している可能性のある方

小児の手の届かない直射日光や高温多湿を避けた場所に保管してください。