メトホル

メトホルは、2型糖尿病治療における第一選択薬として世界中で広く利用されているメトグルコのジェネリック医薬品です。インドでも有数の規模を誇る製薬会社シプラ社（Cipla Ltd）が製造・販売を手掛けており、有効成分としてメトホルミン塩酸塩を配合しています。多くの種類がある糖尿病治療薬の中でも、メトホルはビグアナイド系に分類される医薬品です。肝臓での糖の生産（新糖生）及び放出を阻害する作用、全身の筋肉や脂肪組織で糖を取り込みやすくするインスリン抵抗性の改善作用、小腸における糖の吸収を抑制する作用など複数の働きを担っており、血液中の糖の濃度を低下させて血糖値をコントロールすることができます。基本的に、糖尿病は1度発症してしまうと完治させるのは難しいと言われている疾患です。その為、糖尿病の治療は治すことよりも悪化しないように管理することを目的としています。食事療法及び運動療法によって生活習慣の改善を図りつつ、メトホルのような治療薬を用いた薬物療法を上手く組み合わせることで、健康な身体作りを目指すことができるでしょう。

参考サイトについて

お薬ラボでは商品の説明書の和訳や以下のサイトなどを参考にして記載しております。
医療用医薬品：メトホルミン塩酸塩
Wikipedia：メトホルミン

食事療法及び運動療法を十分に継続または、左記に加えてスルホニルウレア剤を用いた薬物療法を十分に継続しても満足な効果が得られなかった場合に、初めてメトホルの服用を検討しましょう。本剤は症状や年齢により用法・用量が異なります。詳細は専門の医師や薬剤師へご相談ください。

・成人の場合
飲み始めは、500mgを一日2～3回に分割して食後に服用してください。その後、経過を観察しながら一日750～1500mgを目安に調整しながら摂取を継続しましょう。使用者の状態によって服用量は増減できますが、上限は一日2250mgまでです。

・10歳以上の小児の場合
飲み始めは、500mgを一日2～3回に分割して食後に服用してください。その後、経過を観察しながら一日500～1500mgを目安に調整しながら摂取を継続しましょう。使用者の状態によって服用量は増減できますが、上限は一日2000mgまでです。

メトホルの有効成分メトホルミン塩酸塩が、新糖生の阻害、インスリン抵抗性の改善、小腸での糖吸収の抑制などの作用によって血糖値を低下させます。2型糖尿病の改善に効果的です。

副作用として、腹痛、嘔吐、胃腸障害、貧血、発疹、肝機能異常、クレアチニン上昇、血中尿酸増加、めまい、動悸などが報告されています。重篤なものでは、乳酸アシドーシス、低血糖、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症が報告されています。気になる症状があらわれた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

必ず少量から服用を開始し、徐々に服用量を調節していくようにしてください。また、服用期間中は定期的に腎機能及び肝機能の検査を行い、服用継続の可否や適切な服用量を検討するようにしましょう。高齢者の方は特に注意が必要です。脱水症状があらわれた場合は服用を中止し、適切な処置を行ってください。メトホルの服用期間中はアルコールの摂取を控えましょう。発熱や下痢、嘔吐、食事摂取不良などの体調不良があらわれた際は、脱水状態が懸念される為、一旦服用を中止して医師に相談してください。また、胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸などの乳酸アシドーシスの症状があらわれた場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。ヨード造影剤を用いて検査を行う予定がある方は、検査前は一時的に本剤の服用を中止してください。ヨード造影剤投与後48時間以上が経過し、患者の状態に問題がなければ服用を再開できます。副作用により低血糖の症状を引き起こす恐れがある為、服用後の高所作業や車の運転などの危険作業は控えましょう。3～4ヶ月に渡って服用を継続しても満足な効果が得られない場合は、他の治療方法への切り替えを行ってください。

以下に該当する方はメトホルを服用できません。
・本剤の成分または、ビグアナイド系薬剤に対して過敏症の既往歴がある方
・乳酸アシドーシスの既往歴がある方
・重度の腎機能障害または、肝機能障害がある方
・心血管などの循環器や肺機能に高度の障害がある方または、その他の低酸素血症を伴いやすい状態にある方
・脱水症の方または、脱水状態が懸念される方
・過度のアルコール摂取者
・重症ケトーシスの方または、1型糖尿病の方
・糖尿病性昏睡または、前昏倒の症状がある方
・重度の感染症がある方
・手術前後の方または、重篤な外傷がある方
・栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全、副腎機能不全のいずれかまたは、複数に該当する方
・妊娠中の方または、妊娠している可能性がある方

以下に該当する方の服用には注意が必要です。服用前にかかりつけの医師に相談してください。
・腎機能障害または、肝機能障害がある方
・高齢者の方
・低血糖を起こしやすい要因がある方
・感染症がある方
・授乳中の方
・小児

併用禁忌薬は現在のところ報告されておりませんが、メトホルと下記の医薬品との併用には注意が必要です。事前に医師へ相談しましょう。
・ヨード造影剤
・腎毒性の強い抗生物質
・利尿作用を有する薬剤
・他の糖尿病治療薬
・たん白同化ホルモン剤
・サリチル酸剤
・β遮断剤
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・アドレナリン
・副腎皮質ホルモン
・甲状腺ホルモン
・卵胞ホルモン
・ピラジナミド
・イソニアジド
・ニコチン酸
・フェノチアジン系薬剤
・シメチジン
・ドルテグラビル
・ビクテグラビル
・バンデタニブ
・イメグリミン塩酸塩

直射日光の当たる場所や高温・多湿の場所は避けましょう。また、お子様の手の届かない場所に保管してください。分割した錠剤は清潔な状態で保管し、できるだけ早めに飲み切ってください。